文明の終わり。 さよならポラロイド。 １２月１８日（火） １３６３

今日、大手の写真卸売りやさんから、いよいよポラロイドの６００フィルムの生産も終了されるという話をききました。
我々がさんざん、お世話になった４x５のT−５５も、生産中止になったし、プロ用フィルムのほとんどが生産に終了になっているポラロイドフィルムですが、いよいよアマチュア用として最後まで残っていた、600シリーズのフィルムも終了になるとの事・・・
一抹の寂しさどころでは無い寂しさです。今から２８年前、当時私がアシスタントをしていた熊谷晃さんのところから、ポラロイドで作るIDカードの仕事を分けてもらって独立して以来、２００1年にポラロイドがチャプターイレブンになりながらも2004年までの26年間、ポラロイドはMASHのメインクライアントでした。
ポラロイドとの仕事は、単なるクライアントとアドバタイジングフォトスタジオという関係だけでなく、ポラロイドフィルムを使用したアーティスティックな活動のテクニカルアドバイザー的な役割も担っていました。特に、1986～8年,2001～2年にかけてのポラロイド20ｘ24での著名写真家、アーティストによる作品制作のテクニカルアドバイスは興味深いものでした。
私が、日本ポラロイド社と関わった頃は、虎ノ門の第６森ビルという小さなビルにある小さな会社でした。その後、最盛期には社員数も200名を超えた時もありますが、現在の社員数はほんのわずかです。ポラロイドがだめになった原因はアメリカ的経営とデジタルです。
その象徴は1999年で、この年日本ポラロイドは最高売り上げを記録しました。CMキャラクターに99を起用し、毎月女性誌に雑誌広告を打っていました。2000年にはモーニング娘を起用し、私も毎月、ポラロイドの広告撮影に追われていました。ところが、その2000年に、フィルムを使うコンパクトカメラとコンパクトデジタルカメラの出荷台数が同じになりました。その後は、デジタル写真の台頭とともに、ポラロイドの最大の特徴だった即時性のお株を、デジタルカメラに取られ、急坂をころげ落ちるように、ポラロイドフィルムの出荷数は減り、現在では人々の記憶の片隅に追いやられています。
１９４０年代に、偏光板のメーカーだったポラロイド社、その社長のランド博士の娘さんが、写真をランド博士に写された時「おとうさん、どうしてその写真すぐ見られないの？」と聞かれ、研究を始めて１９４８年にアメリカで発売されたポラロイド写真、ファミリーユースだけでは無く、写真文化にも大きく影響を与えた、一つの文明が終わろうとしています。
フジフィルムには、まだフォトラマというインスタント写真システムは存在しますが、ポラロイドが無くなるというのは、ある歳以上の人にとっては、大きな精神的インパクトを感じると思います。合掌。

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