1072のエントリーに対して、もう一つ質問がきました。
今度は、歴史もからまるご質問です。 目線の件でさらなる疑問が。写真が日本に入ってきた幕末、明治、さらに下って昭和初期までの古い肖像写真はその大半が目線を外しているように感じます。遠くを見ているとでも言いましょうか。なにか理由があったのでしょうか。 お答えします。 最初に、幕末の頃の写真の疑問への直接の答えとは、ちょっと違いますが、私も「モデル」さんに目線を外してもらう事があります。 それは、モデルとしてプロでない人(会社案内撮影で写す、社員の女性等)や、プロでもモデルに成り立ての、レンズを見ると、どうしても今流行のきつい表情しかできないというか、緊張ぎみのモデルさんの場合で、少しリラックスしているというか、すこしでも柔らかい表情を写したい場合はレンズの上とか「ボクの頭の上の遠くを、何となく見て~・・・ アツ いいな~」なんて感じで撮影します。人は、一点、写真撮影の場合はレンズを見つめると、どうしても一生懸命とか、緊張した表情になるようです。 でも、遠くを何となく見たり、焦点が定まらないでボーっとしているときは「緩んだ」お顔になるようです。それを写すと、写真では緊張感が少ない表情になる事もあるのです。 それと、素人の人で瞬きの多い人がいらっしゃいます。そういう方は写真を写すとき「写真撮るんだ、私はどうしても、目つぶり写真が多い、注意しなければ、レンズちゃんと見ましょ・・・イヤだ、ドキドキしてきた・・・」ってな感じになっています。「リラックスしてください。」何ていうと、「リラックスしなければ・・・」と一生懸命思って、また瞬きが多くなってしまいます。 そんな時には「ボクの頭の上の遠くを、何となく見て~、一番好きな食べ物思い出してください。」なんて撮り方をすると、瞬きを防げます。つまり「気をそらす。」のです。それでもダメな場合は、目をつむってもらって「ハイッ て言ったら目を開けてください。」と言って、目を開けた瞬間にシャッターを切ると目つぶりが防げます。 さて、幕末の頃の肖像写真ですが、当時のフィルム(まだ、乾板でなく湿式?)は、感度が低く、1枚写すのに、何十分もシャッターを開けていなければならず、ブレを防ぐために首を固定する装置があったと、もの本には書いてあります。長時間、目を開きっぱなしにする事は不可能ですので、撮影中はどうしても瞬きを何回かしていまうでしょうし、何十分も一点を見つめて緊張し続ける事も不可能なので「目線をはずした」写真になってしまったのではないでしょうか。 また、昭和初期までの頃の肖像写真ですが、今でも、写真館に撮影に行けば、デジタルは違いますが、フィルム撮影では、たいがいは中判や大判カメラで撮影をします。昭和の初期の頃の肖像写真は、当然大型カメラでの撮影でフィルム(まだガラス乾板だったかもしれません。)の感度も低く、写場の照明も今とはことなるので、遅いシャッタースピードでしか撮影でず、しかも小型カメラでの撮影のように、短い間で何枚も撮影できなかったので、一球入魂ならぬ、撮影する方もされるほうも「一撮入魂」的に撮影したでしょう。そんな時は、当時のアマチュアカメラマンやプロの寫眞師は、目つぶりを防ぐための「気をそらす」何らかの方法を、心得ていて撮影したので、目線を外した写真になってしたのではと推察しました。 また、もしご質問の肖像写真達がプロの寫眞師が撮影した写真であれば「修正」というマジックハンドを駆使してあるかもしれません。熟練した彼らの手にかjかると、目つぶりを、目開きに修正する事もできました・・・ 今と違って、プリクラも無ければ、デジタルも無い、フィルムもカメラも超高い。消費される映像ではなく、貴重な映像だったのです。写真を写すのは「ハレ」の行為の時代だったのです。 だいぶ横道に逸れましたが、本日の回答です。いかがでしょう・・・・ お役にたちましたか?ブログランキングへ参加中です。授業料としてクリックを、今日もお願いします。(笑)
by mash_boss
| 2007-05-05 00:25
| 寺子屋
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Trackback(1)
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Comments(7)
GWの特別授業どうもありがとうございました。
先日、写真が発明されて間もない頃、彫刻家のロダンが撮影させた 写真を展覧会で見ましたが、それはすばらしいモノクロームプリント でした。カーボンプリントとか重クロム酸塩ゴムプリント、白金写真 などと書いてありましたが初期の頃はいろいろ試行錯誤状態だった のでしょうか? モノクロの階調はとても豊かで美しかったです。 ロダンはすでに記録としてだけでなく、写真を芸術表現のいち手段と 認識していたそうで、発明直後から高いレベルにあったことがわかり ました。
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いつも楽しく拝見しております。私の推察では肖像写真が右や左を向いているのは肖像画がそのように描かれているからではないでしょうか。ではなぜ肖像画が斜め向きの顔を描くのかというと私たちが商品をわかりやすく撮影するために斜め45度から撮るのと同じで奥行きや当時のヘアスタイルを見せるため。もちろん画家の方をずっと見ながら描かれるのが偉い人にとっては苦痛だったこともあるかもしれません。いかがでしょう?
伏見先生ありがとうございます。有名なところでは『坂本竜馬』の立ち姿の写真ですが、西部劇のころのアメリカの写真なども斜め方向の写真のイメージが。上記の方がコメントされておられるように肖像画の影響もあるのかもしれないですね。
銀座キャノンにも出張の際に寄らせていただきましたが福岡の会場、近くなのでぜひ伺います。楽しみです。
やましたつねおさん、コメントありがとうございます。
勉強になりました。写真は絵画の模倣だった時期もあったわけですものね。これからも、よろしくお願いします。
Dzoさん、6月1日、16時~17時半、福岡会場にいる予定です。
こんばんは。
昔の写場の話題が出たので一言。 当方の旧い写場(戦後の建物)には北側に明り取りのスラント窓がありました。 昭和30年代のモノクロ肖像は、まだまだ自然光で撮影したという事です。 カラーフィルム時代(40年代)になってからはタングステン照明。 どちらの撮影も、シャッタースピードは1/60secがいいところですね。 現在も写真はハレの行為だと思います。 写真館のお客様は皆、ハレ姿を残す為にお越しになるのですから。
滝たんさん、東京郊外の小金井公園という所に、旧家が保存してある施設があり、そこに戦前の写真館が保存してあります。
私も、その写真館を見ましたが、北側の大きな窓から、安定した柔らかいライトが入るようになっていました。感動ものでした。
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