メールをいただきました。      116/365    4月26日(水)

概略以下のようなメールを、このブログの読者の方からメールをいただきました。
「最近、世界的な写真コンテストでAIが作成した画像が最優秀賞を獲得、提出者が受賞を辞退したと言う出来事があった。
仕事で新聞のレイアウトをしているが、試しにAIに紙面割付けをやらせてみると思った以上に完成度が高く少し手直しをすると十分に使えるレベルだった。
ただ少し足りないのは、人の心の奥に潜む情と言うか、料理で例えるならば美味しそうに見える最終盛りつけ感が足りないところだった。
もしAIがこれを克服するとレイアウターは失業の可能性がある。(笑)
今後写真家にとっても同じ様な事があるかも知れない。そこで今回の出来事をプロの広告系フォトグラファーとしてどの様に見えたのか、また今後どう在るべきなのかを知りたい。」
まさに、フォトグラファーやイラストレーター、デザイナーにとってHotな話題なのです。
特に、イラストレーターやデザイナー間では、生殺与奪になる問題なのです。
メールをいただきました。      116/365         4月26日(水)_b0069507_18550584.jpg昨年の8月に発表された、Stable Diffusionを代表とする画像生成AIは、言葉を入れると画像ができあがるので、大変な話題になっています。
広告のフォトグラファーは、デジタル写真、嫌フォトショップ登場以来、フィルム時代から画像素材の提供者としての役目も担わされていたので、そんなに驚きはなく「ここまで来たか」という感じです。
それとともに、本物のフォトグラファーしか生き残れない時代になって、ますますニッチな職業になるのだろうと思います。
本物というのは、感性もテクニックもです。

「言葉で表現できない事を表現します。」これが写真だと思います。それを言葉でつくるパラドックスをどう解決していくのでしょう。
ドキュメンタリーや報道写真よりは少ないとは思いますが、広告写真でも、その場でしか感じられない事が、フォトグラファーにも、モデルにも、デザイナーにもあり、それが良い方向でミックスした時に期待以上の「写真」が撮れてしまうのです。
これが、質問中の「人の心の奥に潜む情と言うか、おいしそうに見える最終盛りつけ」なのかもしれません。

ヘナチョコフォトグラファーでOKの仕事は減ると思います。
本物のフォトグラファーの仕事は残ると思います。
予算の無い仕事は、どんどんAIになり、予算のある仕事しか実際の撮影にはならないでしょう。

フォトグラファーより影響を受けるのはモデルさんかもしれません。
通販やECサイトでは、色々な服装のモデルさんがたくさん出てきますが、こういうモデルさんはAIの人口モデルさんに変わられていくでしょう。
タレントさんや、Topモデルはのこるでしょう。

質問に対する答えになっているかはわかりませんが、以上が私の画像生成Aiに思う事のエッセンスです。
凡人には生きにくく、スペシャリストや才能ある者には楽しい世の中になっていくのでしょう。


メールをいただきました。      116/365         4月26日(水)_b0069507_18554329.jpg画像に関しては、画像処理が報道写真でだいぶ前から問題になっています。
世界報道報道写真展で応募写真が「加工」されている事例が多数あり、AFPやロイター等では、「加工」をチェックするソフトを使っているそうです。

左の写真は2011年5月1日に撮影された、ホワイトハウスで、ウサマ・ビンラディン容疑者を殺害した軍事作戦を見守るバラク・オバマ米大統領とヒラリー・クリントン国務長官らです。合成などはないですが、先述の「加工」をチェックするソフトウエアで調べたところ、クリントン国務長官とオバマ大統領の顔の部分は明るくされ、中央にいる将官の胸のメダルも明るくされていて、机の上の書類は読めないよう加工されている。のがわかったそうです。(c)AFP/Official White House Photo by Pete Souza
これって、画像が加工されているという問題にはならないと思うのです。
AFPのテクニカル編集チームのアントナン・テュイリエさんは「フラッシュをたいて撮影するのは許されるのに、設定を間違って暗過ぎる写真を撮ってしまったときにフォトショップで調節しようとするのはなぜダメなのか? 中心にあるものを際立たせるために、後処理で周辺を暗くするビネット効果をつけることも禁じられている。だが質の悪いレンズで撮ったら、オリジナルの写真で同じ効果が得られる」と言います。
また、スキーの写真で斜度を強調するために、画像を回転させて強調させるのは、ダメで撮影時にカメラを少し傾けて斜度を強調するもはいいのか?問題山積みです。

メールをいただきました。      116/365         4月26日(水)_b0069507_04234328.jpg2011年から12年経ち、画像生成Aiが登場、画像生成AI「Midjourney V5」を使って逮捕されるトランプというフェイク写真まで作れるようになりました。
こういう写真は、いけません。
これまで何回も書きましたが、アメリカでは1994年公開の映画「フォレストガンプ」以降、動画(写真も?)の証拠能力は無くなったと言います。
フォトグラフを写真と訳した日本は、写真神話から抜けにくいのかもしれません。

2023年は、写真にとって歴史に残る年になるでしょう。



by mash_boss | 2023-04-27 07:43 | 写真 | Trackback | Comments(0)
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