7月24日(日)フォトグラファーへの道
フォトグラファーへは、どうやってなるのでしょうか?
答えは、簡単です。「決められた道」などありません。まあ、一般的には写真教育をしてくれる学校を卒業するのが、近道かもしれません。
私は、和光大学の人間関係学科という所を卒業し、在学中よりフォトグラファーのアシスタントをして、卒業後もアシスタント一本で27歳の4月にフリーになりました。
翌年の税金の申告の時に職業欄に「カメラマン」と書いたときに、妙に実感がわいたものでした。
写真の学校教育的なものは、人間関係学科を卒業して、同じ大学で芸術学科の専攻科で多木浩二さんに付いて「篠山紀信と長友健二の比較研究」をしていた時に、当時の朝日カルチャーセンターにあった、広告写真講座というのを3ヶ月受けました。この講座は後に私のボスになる杉木直也さんが、教えていた講座で大変役にたった講座です。授業を受ける生徒も、三分の一くらいが現役のフォトグラファーという凄い講座でした。
私は、あえて写真学校には行かなかったのですが、高校2年の時に、偶然「カメラ毎日」の元編集長だった岸哲夫さんという方と知り合い、その方に相談したところ「絶対に写真学校に行ってはいけない。『大事なのは、ものを見る目だ。技術は誰でも4年もあれば、覚えられる』と、アメリカの近代写真の父、スティーグリッツという写真家が言っているよ」といわれ素直に信じて、興味のあった和光大学に行きました。
何と説明したらよいのかわかりませんが、これは、後に教わった事なのですが、世間の見え方についてなのですが、科学技術の高度に発達した現代では、ジェネラリストからスペシャリストでなければ、昔のように「一芸に秀でる」事ができれば、世間が見える、つまりは、スペシャリストからジェネラリストへは難しい、あるいは、少し飛躍しますが、ドイツではナチスの時代の医者が行った人体実験にこりて、医学教育の専門課程に入る前には、必ず哲学を学ばせるという事に、合い通じるところがあるようです。ともあれ、技術は、スティーグリッツの言葉より少し長く、高校時代のアルバイトを入れると7年近くのアシスタント生活で覚えました・・・
まとめとして、以前にも書きましたが、私をきたえてくれたBossたちをご紹介します。



西原さん
銀座にあった「プリビション」という広告制作会社のチーフ・フォトグラファー。高校から大学にかけて西原さんのアシスタントのアシスタントをしていました。
イトーキ、ブランズウイック、料理等撮影を手伝った。地味だけど、職人肌の縁の下の力持ち的写真家。真の広告写真家だと思う。

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長友 健ニさん
山口 百恵、天池 真理等の多くのタレントやヌードを撮影する一方で山田照明のカタログなどの撮影もしていました。毎日々タレントさんの撮影で若い私には興奮の日々でした。弟子の躾にも厳しく、当時、しかられた事が、いまでも大変役に立っています。
私が人物を撮影するとき、いつも長友さんの撮影姿が脳裏に蘇ります。
現在もAPAの会議でご一緒します。

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杉木 直也さん
日本の近代広告写真の祖といっても、過言では無いでしょうか。いま、我々が当たり前のように使用している大型ストロボを日本に最初に持ち込み、ポジ現像に増感現像を持ち込んだのも杉木さんです。技術的な事ばかりでは無く日本アートデレクタークラブ(ADC賞)を写真家として最初に受賞しています。考え方はシステマチックで近代的。
杉木さんのところからは、著名な広告写真家が輩出しており、私もがんばれねばと、今でも思います。

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シーチーコーさん
杉木さんの友人、当時はNEW YORKにスタジオがありました。
台湾生まれで、台湾独立党に関わり国民党におわれて日本へ、日本で写真を学び直し、アメリカへ。コーさんは、中国語も日本語も米語も完璧ではなく「一体、自分は何人なのだろう」と思う事があるといっていました。現在は台湾へ戻る事ができ写真家として活躍中との事。ぜひ、もう一度お会いしたいです。

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ケン・モリ さん
NEW YORKにコスチュームデザインを学びに行き、図書館で勉強の資料として衣装関係の本の複写をするようになって写真に興味を持ち、独学でNEW YORKでPhotographerになりました。「スタイル」という言葉と「ファッション」の真の意味を教えてくれました。N.YのスタジオをたたみVirginiaで「トウキョウ・ローズ」というレストランを経営していたが、現在は行方不明。どなたか消息をご存知の方がいらっしゃいましたら一方をmailで・・・

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熊谷 晃さん
杉木さんのアシスタントを経て、スエーデン王立芸術大学を 卒業。フリーカメラマンとなりました。いわば、私の兄弟子にあた る人です。ガラスとビール、化粧品等の撮影が多く、商品 撮影はここで学びました。3ケ月休みが無い時もありましたが、体 で写真を覚えられました。

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6人の先生の、誰一人欠けても「不器用で、愚直」な私は、フォトグラファーに、成りえなかったと思っています。

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by mash_boss | 2005-07-24 21:18 | 写真世界等々 | Trackback | Comments(3)
Commented at 2005-07-25 11:07
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by mash_boss at 2005-07-25 12:42
鍵コメさん、コメントありがとうございます。
確かに、運とか縁は大きいものですが、それらを呼び込むための行動をしなければ、「運とか縁」は廻ってきません。
モデルさんですが、プロのモデルさんは、普通に見ていると、背が高くて、手足の長い目立たないひとですが、カメラの前にたつと、光輝くものです。「アートとしてのモデル」さんは、そうでも無くてよいのでは・・・
Commented at 2005-07-25 23:00
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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