12日オープンの「世界報道写真展2021」の内覧会に行きました。
会場はお馴染みの都写美です。
やっぱり、写真の王道を行く写真展だと再認識です。
TVもNetも無い時代、世界で何が起こっているかを見せてくれたのが印刷された新聞に掲載された写真であり、グラフ誌に掲載された写真だったのです。
新型コロナウイルス禍のなか、世界各地で昨年撮影され、大きくしかも精密にプリントされた写真を見ると、どんなメディアが登場しても、写真の役割は変わらないと思いました。
第64回目の今年は、130の国と地域のフォトグラファー4,315人から計74,470点の応募がありました。
「現代社会の問題」、「一般ニュース」、「環境」、「自然」、「長期取材」「スポーツ」「スポットニュース」、「ポートレート」の8部門の入賞作品、約160点が展示されています。
正面左が今年の世界報道写真大賞
一般ニュースの部 単写真1位
マッズ・ニッセン(デンマーク、ポリティケン/パノス・ピクチャーズ)「初めての抱擁」です。
2020年8月5日、ブラジルのサンパウロにあるヴィヴァ・ベム介護施設で看護師のアドリアナ・シルヴァ・ダ・コスタ・ソウザに抱きしめられるローザ・ルジア・ルナルディ(85)。
今年の特徴は、何といっても新型コロナウイルスです。
新型コロナウイルスと戦う世界の様子が、報道写真としてとらえられています。
数年前、報道写真で問題になったのは、デジタル画像処理。
報道写真の信頼性を大いに損なう行為です。
広告写真畑では、レタッチを始めとして画像処理は当たり前の事です。でも何が真実かの判断は別として、民主主義国家の報道機関は、真実を報道する事を前提にしていると思っていた私にとって、報道写真家はそんな事するはずないと信じていたので驚くとともに、ガッカリしました。
その後、各通信社等は画像処理をチェックする機能を整えたという事です。
いくつかの作品紹介です。
ポートレートの部
単写真2位イヴァン・マシアス(メキシコ)
2020年5月19日、メキシコシティーの病院で、勤務シフトをおえた医師。
防護マスクと医療用ゴーグルの跡がくっきり残っています。メキシコは医療従事者のコロナウイルス感染率で世界最高になってしまいました。にもかかわらず、ロペス・オブラドール大統領は、ロックダイン措置を緩和し、疲れ切っている医療従事者は、新型コロナウイルス感染対策を怠る政策に批判を強めたという事です。
環境の部 単写真1位
ラルフ・ベース(アメリカ)
2020年11月19日アメリカ、カリフォルニア州モントレーのブレイクウオーター・ダイビング・スポットでマスクに向かって泳ぐ好奇心旺盛なカリフォルニアアシカ君です。
新型コロナウイルス対策で、多くの国でマスク着用が義務化され、捨てられた使い捨てマスクが散乱するようになりました。マスクは、鳥、魚、海洋哺乳類その他の動物が餌と間違える恐れがあります。
地球は人間だけのものでは無いのに・・・
特別出品
世界報道写真大賞2020
一般ニュースの部 単写真1位
千葉康由 日本・AFP通信
人々の掲げる携帯電話の光に照らされ、抗議の誌を叫ぶ若者。
2019年6月19日、停電になったスーダンの首都ハルツームで催された文民統制を求める対話集会で撮影されました。
この写真は、暗い所に強いデジタルカメラでなければ、撮れなかった写真です。機材の進歩は撮影領域を広げます。
世界報道写真展2021の東京での開催期間は、8月9日までのロングランです。
その後、滋賀、京都、大分と巡回されます。
※今回の写真は、内覧会での許可を得て撮影しました。
開催期間中、会場で撮影可能か不明です。会場でお確かめください。