輪廻・・・  9月17日(土)  5806


輪廻・・・  9月17日(土)  5806_b0069507_362621.jpg20日から始まるフォトキナに向けて各カメラ会社、新製品を発表していますが、私が一番驚いたのは「Leica SOFORT」。ライカ版チェキです。
ボディー背面に「DESIGNED BY LEICA CAMERA GERMANY」と入っていて、デジカメWatchによると「チェキ instax mini」シリーズに通じる部分が見られる、との事なので、フジのOEMなのでしょう。
日本での価格は税込3万4,560円との事なので、気軽に買える唯一のライカです。
ライカ、ここ10年でコンパクトデジカメからデジタル中判カメラまでデジタル一眼レフも、モノクロ専用機も、ミラーレスも、レンジファインダーデジタルも、そしてフィルムカメラもラインナップにある、世界で唯一のカメラメーカーになっていましたが、Leica SOFORTインスタントカメラまで揃えて、完全制覇になりました。ライカも変われば変わるものだと思うとともに、どんな製品でも「ライカ」らしさを保つ、「ブランド」力は凄いです。
ライカ版チェキの「Leica SOFORT」に、私が感慨ひとしおなのは、かつて、フジフィルムに破れた日本ポラロイドの撮影をシャオから大判20x24まで、四半世紀にわたりしていたからです。
インスタント写真と言えばポラロイドしか無く、NHKも「ポラロイド」と言っていた時代があり、やがて引き剥がし式のインスタントフィルム市場に、フジがフォトラマを売り出し、プロのフォトグラファーのテスト撮影の分野で、かなりのシェアをしめました。諸事情があり、フォトラマはアメリカでは発売されなかったようで、日本に来たアメリカのフォトグラファーが大量に、フォトラマを買って帰ったという話も聞きました。
そして、ポラロイド シャオ (Xiao)、JOYCAMヒッパレー等のヒット商品を出して「我が世の春」時代だった1990年代後半から2000年に入っての数年間、その頃、フジはチェキを売り出しました。色々あって、アメリカのポラロイドは、2001年にChapter 11という連邦倒産法第11章の適用を受け倒産、その後も営業をつづけ、私の仕事にも全く影響がなかったのですが、ちょうどコンパクトデジカメが勢いを増し、携帯電話にカメラ機能がつき始めてインスタントフィルム自体の販売量が激減、2008年に親会社の不正疑惑による財政状況の悪化を受け2度目のChapter 11を申請して完全に破綻、フィルム生産からも撤退してしまいました。
2000年は、日本でのコンパクトフィルムカメラとデジタルコンパクトの生産量が50%50%になった年。その後1〜2年でその比率はあっというまにデジタルが上回りました。普通のフィルムの出荷量が減るなかで、フジはインスタントフィルムを作り続けていたのです。
そして、ここ数年、再びインスタント写真がアジアから人気が出始め、日本でも見直されるようになりました。
フィルムの生産ラインが減っていく中で、2〜3年前にフジはチェキの生産ラインを増やしました。デジタル時代にフィルムの生産ラインを増やすなんて凄い事です。
そして、ライカ版チェキの発表・・・
この結果は、日本とアメリカの物作りの姿勢、会社に対する考え方の差による結果です。
正直、フィルム、カメラの性能はフジの方が良かったです。アメリカ国内では、諸々の事情でフジを売らないようにして、シェアを取られないようにしていました。でも、日本では違います。激烈な競争をしていました。フィルムやカメラの性能の劣るところは、仕事を受けた私たちプロが撮影方法でカバーして、巧みなマーケッティングで販売を維持していました。ところが、敵はフジではなく、デジタルという敵が思いもよらぬスピードで大きくなり、インスタント写真のシェアどころか普通のフィルムのシェアすら殆ど無くなってしまいました。
その間も、どういう戦略があったかは知りませんが、チェキのカメラとフィルムを生産し続け、改良し続けたフジは偉いです。それが、ライカまでチェキフィルムを使ったカメラを作る結果として現れています。
コンデジが台頭してきた頃、本当の即時性はインスタント写真だとポラロイドは言っていました。今になって思うのは確かにそうです。2000年がデジタルカメラ元年とすると、もう16年経ちました。この頃はデジタルは途中経過までの即時性はありますが、結果への即時性は疑問とおもうのです。でも、インスタント写真は結果までの即時性があるのです。
なぜ最近インスタント写真が再注目を浴びるようになったというと、コミュニケーションのスタイルが変わってきたのではと思うのです。デジタルとWebにより様々なコミュニケーション手段が登場しました。ともすれば、スマホやタブレットを1日中いじって、生身の人間とは挨拶程度で、会話をしない日もあるのではないでしょうか?そんな時代に少し変化が起きているような気がします。
そのある種の面が、本当の即時性があるインスタント写真の再人気という現象になっているのかと思います。
仕事としての撮影は、現像や印刷といったフィルム写真向けのインフラが殆ど無くなってしまった現在は、デジタルでつづくでしょうが、コミュニケーションや文化という面では、フィルムが再注目されはじめています。
ライカブランドのチェキに会わせるように、モノクロのチェキフィルムも発売されます。
3万4,560円で買えるLeica SOFORT、日本ばかりでは無く、世界にどんなムーブメントをおこすか、楽しみです。



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by mash_boss | 2016-09-18 08:58 | カメラ | Trackback | Comments(0)
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