久しぶりに、大きな写真展に行きました。
都写美が改築工事に入ってからの私にとっての久しぶりの公共施設での大きい写真展です。
場所は、千代田区の北の丸公園のそばにある、国立近代美術館です。この美術館は、都写美についで大きな写真展を開催する美術館です。
奈良原一高さんの「王国」、名作と言われていますが、全部は見た事がありませんでした。
1956~1958年に函館の修道院と和歌山の女子刑務所を取材した写真です。
両方とも見応えありますが、特に修道院の写真は「カッコイイ」です。軽薄な意味での「カッコイイ」ではなく、本当のカッコヨサです。
奈良原さんのカッコイイ表現に対して、デビュー作「人間の土地」に当時の写真界の重鎮達から
・木村伊兵衛氏「なにか弱いんじゃないですか。おまけに非常に神経質ですよ」
・土門拳氏「ノイローゼが若い人のもっているユニークなものかも しれないけれど、少し借り物くさいんです・・・以下延々と批判」
・名取洋之助氏「非常にアート的で、お芸術的にレイアウトしてある」
(「人間の土地」再考 蔦谷典子氏 より引用)
と散々だったようです。
名取洋之助さんの「非常にアート的で、お芸術的にレイアウトしてある」=60年後の今では「カッコイイ」と思える部分なのでしょう。当時、ドキュメントはアート的芸術的ではいけなかたようです。
奈良原さんは、デビュー当時早稲田の大学院で美学を勉強していたと、聞いた事があります。また「前衛美術に傾倒し、1955年には、池田満寿夫、靉嘔らが結成したグループ「実在者」に参加。」ともあります。カッコヨサはそこからの影響なのでしょう。
私が、今撮影しているモノクロ作品とは、全くジャンルは違いますが大変参考というか本当に学べき点が多い写真展です。
企画展の「王国」だけでは無く、収蔵展の3Fと2Fにも「人間の土地」から「軍艦島」と「黒神村」、1970年代半ばに奈良原さんがニューヨークに住んでいた時のブロードウエイを写した作品が展示されているので、お見逃しなく。
「王国」は3月1日までです。また、ここの写真展レイアウトはあいかわらず、レイアウトが良くないので、展示順を追うのが結構大変です。気を付けてご覧下さい。
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