今日の本題とこの猫チャンの写真は、何も関係ありません。私の好きなブログ「寫眞毎日」にこのところ、猫チャンの写真がアップされていないので、思わず自分でアップしてしまいました。
さて、これからが本題です。私の持論なのです。 デジタル写真は写真の産業革命であり、技術からの解放なのです。そして、特にEos Kiss Digital発売以降は、感性の鋭い女の子達が斬新な映像を、ブログというメディアの登場と重なって、誰でも簡単に使えるブログ上で発表するようになりました。誰でも写真が写せ、発表できるという事はとても良い事だと思います。 この傾向は、昨日表彰式があった日本広告写真家協会(APA)の公募展でも、応募者が増加し、応募者中の40%が学生であり、女性の応募者の数も相当にのぼります。 その表彰式、レセプションで、プロ志向の入賞入選の女の子達のブックをみていたら「自分:写真」が多いことに気がつきました。 写真が自分発見の道具だったり、写真が癒しの場合はそれで問題ないのですが、ひとたび写真を職業にしようとすると「自分:写真:他人」の関係に変わります。「:他人」はクライアントやディレクターの意向だったり、チョットした撮影テクニックだったり、ライティングだったりするわけです。 「:他人」を自分の写真に取り入れられるかどうかで、写真を職業にできるかできないかの別れ道になると思います。 さて、こんな事を思っていたら、CD,ADのF氏に「フォトグラファーに何を求めるか」をインタビューするチャンスがきました。 F氏は、ケミストリーのキャンペーン、デフテックのキャンペーン、TV朝日の「獣道」のポスター、様々なPV等を手がける、38才の、現役バリバリのCD,ADです。少し長いですが、インタビューの重要な部分をご紹介します。興味のおありの方は下の「インタビュー、フォトグラファーに何を求めるか」をクリックしてください。 途中ですがブログランキング参加中です。ここのクリックをお願いします。 ―:Fさんは、音楽系の仕事を中心として、時代の先端を行く多くのフォトグラファーと仕事をし、CD,ADとして、独特なポジションで、この10年フォトグラファーや写真をとりまく状況を見ていたと思います。10年間「でなにか変化した事はありますか。 F :10年近くやってきて最近やっと、自分なりの写真に対する哲学というか考え方が見えてきた感じなので10年前から今まで、ボク自身が同じレベルで写真を見られたかどうかはわかりませんが、やはり一番大きな変化はやはりデジタル化ですね。それによって、AD的なフォトグラファーの方が増えてきたように思います。 デジタル撮影では撮った絵がすぐにその場で見られるので、露出や構図といったフォトグラファーにとっての制作過程がモニターの大きな画面に映し出されます。そうするとその現場にいるほとんどの人が、フォトグラファーが何をやっているのかが解ってくる。ポラでだったら、ある程度ライティングが完成するまでは見せなくてすんでいた行程が、最初っから見えてしまうんですよ。そうすると、自然に写真へと引き込まれていくと言うか、実際に自分で撮ってみたいという衝動が大きくなるのか、写真家でない人がカメラを持つ機会が増えていったように思います。 ―:それって、ある程度技術的な事が理解できて、画づくりができる人なら誰でもがフォトグラファーに成れるという事ですか。 F :デジタルになって、そのチャンスは開けてきたと思います。 ―:本職のCD、ADであるFさんとしては、そういう現象はどう思われます。また、フォトグラファーに何を望みますか。 F:ボクもやってはみたいと思うけど、そこは欲張らずに画づくりに専念しています。仕事を依頼する場合、こちらが思っている事を忠実に表現してくれる人に依頼しますが、その上で、被写体とのコミュニケーションによって、絵の中に感情を閉じ込めてくれたり、よりエモーショナルな表現をプラスしてくれるフォトグラファーを望みます。 ―:フォトグラファーが写した画像は必ずいじりますか。 F:こちらのコンセプトとフォトグラファーの表現が100%合っていればいじりませんね。ただやはり、印刷工程のことやデザインワークとの相性を考えると何らかの形で手を入れさせてもらっています。 ―:コンセプトという言葉が出ましたが、Fさんが多く仕事をなさっている音楽系の仕事って、広告に比べて結構自由に撮れそうに思えるのですが。 F :それほど自由ではありませんね。ラフもかなりつくり込んでおいて撮影の前には、それにかかわるクリエイターの方々全員と方向性をはっきりさせておく場合がほとんどです。 ただ、現場でおこるいい意味でのハプニングには常に期待を持っています。信頼関係ができているクライアントやフォトグラファーとのセッションの場合、現場でのインスピレーションによってプラスαな表現がでることも多いですから。 ―:ところで、フォトグラファーは表現者ですか、技術者ですか。 F:表現力、技術力、両方とも必要だと思いますが。重要なのはバランスだと思います。ただ、デジタル化にともなって、実際にいろんな方面からフォトグラファーになる人が増えていますし、これからも、どんどん表現者的なフォトグラファーが増えてくると思います。小さな頃から携帯で写真撮ってますからね、、、。 昔は、まづ技術を覚えてからその上で、表現力を付けてきたのではないかと思うんです。でも今は、ある意味、ボタンひとつでちゃんと写りますからね。イメージ先行型のフォトグラファーが増えてくると思います。表現者として優秀な人はやればやるほどディティールまで追求してゆくことになると思います。追求すればするほど、それを表現するには高い技術力が必要だと感じてくると思います。 その中から、技術力が付いてきて活躍するフォトグラファーが出てくるんじゃないですかね。 ―:という事は、これからは表現しようというものがない人は、カメラマンになれても、フォトグラファーにはなれませんね。 F:そうですね。なれないと思います。 ―撮影の現場もデジタル以後、変わりましたがフォトグラファーの仕事の受注のしかたも、インターネットの発達とともに随分変わってきました。以前は人の繋がりだったり、師匠筋の繋がりだったりで仕事が入ってきましたが、最近は編集部やディレクターに対して、積極的に売り込みに行く事もずいぶん一般的になってきました。Fさんは、新しいフォトグラファーをどうやって発見するのですか。 F:幸いな事に、いろんな人が写真を持ってきてくれます。雑誌や他の仕事で活躍しているフォトグラファーの方でも、新人の方でもブックは喜んで見させてもらいます。 ブックをみれば、カメラを持った時のその人の性格がわかります。 そして、その作品があるレベルを超えている写真は忘れません。レベルを超えた作品は、ボクなりに5つくらいのジャンルや特質に分けて、頭にインプットします。 ―:頭にデーターベースをつくってあるのですね。 F:そうですね。新しい仕事が始まって、ある程度コンセプトが決まった時に、頭のなかを検索して、目的にあったフォトグラファーを探します。未だに、この人とやってみたいなーと思った人で、セッションできていない方もたくさんいます。 ―:新人の売り込みも多いと思いますが、その場合、フォトグラファーのブックの何をみるのですか。 F:若い人でも上手い人はいるけど、ほとんどの場合はあまり上手くありません。それでもいいんですよ。それは当たり前ですから、経験がないですからね。僕が気にするのは何か新しいもの、おもしろい発想がそこにあるのかどうかです。どんな切り口でもいいんです。それと、対象にどういう風に入り込んでいるかどうかも見ます。 とにかく、何かを感じさせてほしいんです。 ―:最近見た写真で気になる写真はありますか。 F:たまたま、うちのWebを見て大阪からわざわざいらっしゃったのですが、デジタルのモノクロで表現をしている人でした。いろいろなモノを撮っていたんですが、質感の捉え方が非常に特徴的で、印象に残っています。その彼の作品の中で山奥にひっそりたたずんでいるお地蔵さんをとっている作品があったんですね。 それを見た瞬間になにか彼の純粋な気持ちが伝わってきたのを覚えています。 ―:そういう写真を、そのままで仕事に使ってみたい気持ちはありますか。 F:もちろんあります。 彼が写真集なんか出すんだったら、手伝いたいし、他の仕事でもなにかにハマれば使ってみたいと思いますね。 商業的、戦略的な表現とピュアアート的な表現とのバランスについては、常に考えていますし、僕自身の今後の課題はいかにそのバランスを高いところにもっていけるかですから。 このコマーシャルフォト以外の分野にもたくさんの優秀な表現者の方がいらっしゃるので、今後もなるべくいろんな作品を見ていきたいと思っています。 最後まで、お読みいただきありがとうございます。 左の写真は、F氏と一緒に仕事をした「ピクトリコ」の為の写真です。 インタビューのご感想のコメントお待ちしています。 ブログランキング参加中です。ここのクリックをお願いします。
by mash_boss
| 2006-04-30 01:16
| 写真世界等々
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Comments(15)
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mohtakec at 2006-04-30 06:02
猫ちゃん、ぶらぶら〜んと気持ち良さそう。
F氏とのインタビュー、興味深く拝見しました。 デジタルとネットが写真の世界を大きく変えようとしているのですね。 私自身もこの時代でなかったら、写真を趣味としていたかどうか分かりませんし。 10年でこれだけ変わったのですから、これからの10年も何が起こるか楽しみですね。
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はじめまして。いつも見させてもらって学ばせてもらっています。
若い女の子達の感性は、カメラ付フィルム(写ルンです)・プリクラ・インスタントカメラの流れで感じていました。今でもROMOなんかを使って感じるままにシャッターを押しています。昔、写真教室をさせていただいた時もご夫婦で多く参加されていましたが、奥さんのほうが新鮮で感性のきらめきを感じる写真を多く撮られていました。高価な機材も必要なく、操作方法も簡単になってきた今、感性でシャッターを切る手法が圧倒的広がりを見せています。楽しみじゃないですか。
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mash_boss at 2006-04-30 08:09
mohtakecさん、去年Canon Expoというのに行ってきました。デジカメも含めて、Canonの持つ近未来に実現しそうな技術のオンパレードでした。技術の進歩は留まることはないでしょうが、重要なのは表現者がその技術によって、様々な制約から解放され、もっと自由に表現できるようになることではないでしょうか。
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mash_boss at 2006-04-30 08:12
K2dmdさん、コメントありがとうございます。
楽しみです。私はこの種の女の子から、プロを育ててみたいと思っています。
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aricom at 2006-04-30 14:44
技術は益々進化していくでしょうから日々是勉強です(笑)
プロの話し、いつも面白いです。 フォトグラファーになりたいという人は多いと思います。多くの競争者がいて生き残るのは大変だと思います。若さはバカさ(笑) この職業を目指す若い人には情熱を持ってガムシャラに頑張ってもらいたいです。先週から猫Blogを始めたので良かったらご覧になって下さい m(_ _)m http://aricom.blog63.fc2.com/
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mash_boss at 2006-04-30 17:33
aricomさん、フォトグラファーって、特別に才能のある人を除いて、馬鹿では慣れないけど、修業時代はバカにならなければなれません。
そこの所が難しいのです。
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x-syasin-x at 2006-04-30 19:35
boss様
ご紹介ありがとうございます! 昨日は遊びすぎて、今日も猫をアップしていませんが、 そろそろ、猫を復活させますね! この猫ちゃん、足が面白いですね笑。 へんな、かっこうでだらん。 猫のこういうところが、かわいいですよね。
はじめまして。 いつも興味深く拝見してます。
若い頃カメラマンを目指してましたが、なり損なった50前のオヤジです。 でも、今でもずっと写真は勉強中で、写真関係のバイトもしてます。 しかしデジタル全盛時代に突入して、ついて行けなくなりつつあります。 というか〜勉強しなくてもきれいな写真が撮れる時代になり、便利な反面 若い人たちにどんどん追い越されてく自分を感じてます。 こんなオヤジが写真界に入れる可能性などあるのだろうか?と思いながらも、 まだまだ夢を追い続けております。勿論、現実が厳しいことは知りつつ・・・
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mash_boss at 2006-04-30 22:05
v-syasin-xさん、コメントありがとうございます。
油断している猫ちゃんてかわいいですね。
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mash_boss at 2006-04-30 22:14
SHUさん、夢を持ち続ける事はすばらしい事です。
いつも勉強させていただいております、ゆりまるです。
最近はライターさんの希望に添ったテーマで写真を撮るお仕事もいただくようになりました。好きなものとか感じるものだけを撮っているときとは違って、普段は撮らないようなモノやコトがテーマになり、毎月勉強しながら頑張ってます。こういうことが写真家とフォトグラファーの違いなのでしょうか。来月は、これも私が挑戦したことのない地元のお祭りがテーマです。勝負できる時間帯が決まっている中で、どこをどう撮ろうか考えると眠れません。今から緊張しております。それからお聞きしたいのですが【若い】というのは、何歳くらいまでのことなのでしょうか。。。
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mash_boss at 2006-05-01 01:46
ゆりまるさん、コメントありがとう。
私の中では、写真家=フォトグラファーであり、カメラマンとは違うものです。若いとは、才は関係ありません。仕事でv撮影しはじめてから2~3年の方達です。
Nicesite!
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