フォトグラファーは出版社の下請けではないのです。 4月4日(金)   4079


今日の朝は、久しぶりにレップエージェンシー協会のミーティングに出席しました。
会場は、青山の「子供の城」の会議室。青空に鯉のぼりが印象的でした。
久しぶりに出席したミーティングですが、報告事項の一つに、ビックリするというか、ここまで来たかというものが・・・
それは、某大手出版社の女性誌を編集するセクションから、フォトグラファー個人あての通告です。
ご存じのように雑誌は冬の時代です。ネットに押され、リーマンショックの後の景気後退があり、広告の出稿量が減り、電子出版が登場し、3.11に少子化と発行部数の減る事ばかりです。そうなれば、当然経費節減という事になります。そのしわ寄せは当然フォトグラファーにも来ます。b0069507_63316.jpg
今日問題になった通告の中には以下のような項目が含まれていました。
・レタッチ代は、1ページの撮影代の半額まで。
・機材レンタル費、アシスタント代は一切認めない。
・レンタルスタジオ使用時は、スタジオ使用後の明細をチェックする。
・打合せ時の駐車場代は認めない。
例えば、レタッチ代ですが、ビューティーページを撮影しているフォトグラファーはどうするのでしょう?
そもそも、雑誌の撮影代は1ページ、¥15,000,-〜¥30,000,-位です。なぜ、この撮影料かというと、広告と違い、雑誌の場合は撮影者をはじめとして制作スタッフやモデルの名前が掲載されるので、いわばスタッフ、キャスト側としても自分たちの宣伝になります、また、撮影にかかる経費は出版社側が持ってくれるので、もともと高くない料金設定なのです。
雑誌の場合、レタッチャーにレタッチを頼んで、名前を載せるからレタッチ代を安くしてとお願いしても、レタッチ代は安くはならないと思いますし、出版社側もレタッチャーの名前は載せてくれないかもしれません。というわけで、レタッチは外注できずフォトグラファーが自分でレタッチをする場合が多くなります。レタッチ代は1ページ撮影料の半額ですから¥7,500,-〜¥15,000,-という事です。
ビューティーページにはレタッチが付きものです。しかも、ビューティーページのレタッチは簡単ではありません。時間もかかります。そもそも、フィルム時代には、メイクさんが撮影現場で時間を掛けて丁寧にメイクをしていたのでしょう。それがデジタルになり、後できれいに修正できるし、撮影現場の時間短縮にもなるし、腕は少し劣っても感覚の良いメイクさんにもビューティーページ頼めるしという事でデジタル撮影=レタッチが付きものになったのでしょう。また、モデルさんにしても、実際にあったのですが、肌の状態が悪い状態で撮影に来て、あとはレタッチでなおしてくださいと言って帰ったモデルさんもいました。
これらのしわ寄せが、全部フォトグラファーに来るのです。
ビューティーページ、2ページ¥40,000,ーとレタッチ代¥20,000,-で発注を受けたとして、撮影・レタッチ代を打合せとその前後の時間、撮影とその前後の時間、レタッチにかかった時間と交通費等の経費で割ると、コンビニの深夜アルバイト料金+位になってしまう事だってあり得ます。
レンタル代ですが、フィルム時代はカメラは何年も使えるものでした、例えばハッセルブラッド等は手入れさえすれば、一生物でした。でも、デジタルカメラは違います。このところ少し落ち着きましたが、毎年毎年、性能が確実に良い新製品が発売され、フォトグラファーはそれに追いついていかなければ、仕事が危なくなるという状態が続きました。出版社とて同じです。競合誌より劣る画質の誌面では負けてしまいます。そのためには、最新機材が必要な事は、現場の編集者はわかっています。
デジタルバック等は数百万円するものも珍しくありません。そう簡単に買えるものではありません。
競争にひつような機材費をファとグラファーだけに負担させるとは・・・
新し機材だからできる、新しい写真表現が雑誌の誌面をにぎあわせて、読者に新しい提案ができて雑誌も売れて、広告も入る・・・ そのための費用は撮影経費として出版社が負担をしてくれ、そのかわりフォトグラファーは低めのギャラでも新しい挑戦をしたというのが、これまでの流れでした。
新しい表現は、少し遅れて広告写真界に反映され、熟成され、面白い広告ができたのです。
レップエージェンシー協会が設立されたのは、デジタル化して数年たった頃で、これまでの流れが変わってきたからでした。
これまでの流れを「経費節減」で出版社自体が自ら断ち切り、新しい表現は生まれなくなり、フォトグラファーを感覚や才能では無く、経費という物差しで選ぶようになり、誌面の質の低下をまねき、嗅覚鋭い読者が離れていくという負のスパイラルに飛び込んでいっているのです。
以上は、日本を代表する、歴史もあり、出版文化賞、写真文化賞等の表彰をおこなっている大手出版社の事なのです。
中小出版社は更に条件は厳しく、ムック本等では撮影から出版まで半年以上かかる例があり、¥20,000,-程度のギャラの支払いが、撮影後8〜9ヶ月かかる事もあるのです。
おまけに、デジタル媒体に流用したいのでしょう、著作権を出版社側によこせという例が後をたちません。
何でもかんでも、昔に戻せという訳ではありません。フォトグラファーと編集者が、もちつもたれず過ぎた事もあったでしょう。でも、ここ数年は絞れるだけ絞っているのです。豊かな文化は、余裕が無いと生まれないのではとも思うのです。
いったい、この国はどうなってしまうのでしょう。
日本ほど、出版社がフォトグラファーを粗末に扱う国は無いのではないでしょうか? カメラ大国であっても写真大国ではありません。
「美しい日本」「日本をとりもどす。」いったい、どこの国の事でしょう・・・
フォトグラファーを目指す諸君諸嬢は、日本を相手にせずに世界をめざすべきです。

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by mash_boss | 2014-04-05 07:06 | 写真世界等々 | Trackback | Comments(2)
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Commented by Masa at 2014-04-06 15:55 x
いつも読み逃げな形ですがこれは一言。
社長のおっしゃるとおり、Photographer(撮影分野問わず)、日本においてはとにかく低い労働者扱いです。「ただ写真撮ってるだけだろ」と。
こんな状況で若手が善く育つとは到底思えません。志す若手もどんどん少なくなって悪循環がより酷くなる。
とにかくマイナススパイラルは早く脱却しないと、この業界、本当のプロが生きていけなくなりますし、プロが生まれなくなります。危険な状況だと思います。
Commented by masabike at 2014-04-06 20:44
日本はカメラ大国で写真大国でないことは明白です。フォトキナでさえ出展のメインは日本メーカーですが。フォトグラファーは海外です。プロとして生きていくならばグローバルで活躍しなければこの国だけでは生き残れません
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